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「由紀也には、
可哀相なことしちゃったかな」
「……?」
わたしが顔を上げると、
さらに先生の顔が近づいた。
「椎名」
「…は、はいっ」
「ちょっとさ、
…ツンツンしてみてよ」
「…え…っ」
先生は、ニッと口を
斜めに結んだ。
…わ…。
…思いっきり、いじめっ子…。
「……先生に対して、ですか」
「そう」
「む、無理…」
「さっきしてただろ、お客さんに」
「…だっ…だって、
…あれは、仕事だから…」
「いいから、ちょっと試しに」
「…ダメだってば、
…うまく出来ないし…」
「そこがいいんだろ。
ほら、やってみろって」
「…や、無理ですって…
ちょ、先生、顔、近すぎ…っ」
暗がりの中、小声で
押し問答していると、
突然、暗幕の割れ目から
彩加の顔が生首のように
にょきっと現れた。
二人でビクッと身体を引く。
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