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ジュワー、という 大きな音と白い湯気を立て、 生地が鉄板に流し込まれる。 生地の入ったポットを 脇に置き、春山先生は 目の前に並んだボウルに 手を伸ばした。 キャベツ、青ネギ、天かす、 紅ショウガを順番に、 手早く散らしていく。 「椎名、タコ」 「はいっ」 タコ係のわたしが、鉄板の熱気に びくびくしながら 慣れない手つきで タコを入れ終えると、 先生はサンキュ、と言って、 手拭き用のウエットティッシュを 手渡してくれた。 わたしはさっきから、 たこ焼きの焼け具合よりも、 先生の横顔の方が 気になって仕方がない。 …カッコいい。 Yシャツ姿にエプロン掛けて、 たこ焼き焼いてる姿が こんなに絵になる教師って、 世間広しと言えども この人くらいなんじゃ…。
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