第一話.『バケルライフ』

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 屋上から、やっぱり身を乗りだしながら自己紹介するその姿に、全校生徒は彼の姿に注視する。いない筈の人間が、入れるわけの無い場所に居るのだ。皆、宮崎のやろうとしている事に首を傾げていた。  「あれ、礼じゃん」  「何してんのアイツ」  「てかなんで屋上に入れてんの?」  生徒各々、自由に宮崎への感想を口にしていく。その不思議はひとり言から始まる。ひそひそ話と成り、そして最後には、抑えきれない生徒たちによる大きな会話へと変貌した。先生は、静かにしなさいと口にするが、その話し声はおさまらない。これはもう、宮崎が何かしてくれない以上、この会話は止まらない。  『今日はみんなに朗報だぜ! 今日の授業は休みだァァ!』  「マジかよ」、「休み?」、「え、本当?」、「嘘でしょ?」、そんな疑惑の声から始まる物の、事は次第に真実染みてきた。本当に、今日の授業は休み成るのか。宮崎なら、本当にやりかねないのだ。否、宮崎なら、本当にやってくれるのだ。  「宮崎ィィ! またお前かァァ! って言うかなんで屋上に居るんだァァ! 馬鹿な真似してないで早く出てこォォい! ゴリラがいるんだぞォォォ!」
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