第一話.『バケルライフ』

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 先生がそうやって静止をかけるも、それが意味ないのは、この場の全員が百も承知。宮崎は、沢山の紐が結ばれ、大きな紐となった、その一本の紐の先を取り出した。その先に、火を灯す。  『残念無念! もう遅いぜ! 今日の宮崎さんのボケは一味違うッ! 今日のボケは、大ボケだ! 今日の大ボケは、みんなが笑うッ!』  瞬間、盛大に花火が打ちあがった。大きな炎の華が、この青空に咲き誇る。紅い華が、黄色い華が、緑色の華が、青色の華が、紫色の華が、咲く、咲く、咲き誇る。百花繚乱に咲き誇り、千紫万紅に咲き乱れる。何度も、何度も、何度も、何度も、透き通る青空に、色が入り乱れる。そして、打ち上げ花火とは別に、ロケット花火も、手持ち花火も、吹き出し花火も、様々な種類の花火が、空中へと輝く。  「ハハハハ! ばっかじゃねェの!」  「って言うか、ハハ、五月に花火って! 夏にやれよ!」  「ヒィヒィ、俺腹いてー!」  「って言うか五月蠅いだけじゃねーかよアハハハ!」  「あんだけ頑張るって普通考えらんねー! ヒャーハッハッハ!」  皆、笑顔だ。皆がみんな、笑っている。大きく腹を抱えて、楽しそうに笑っている。宮崎礼は、こういう男だ。人を笑わせる事に、自分の人生を捧げられる男。人を笑わせることに、自分の全てを注ぎ込むことが出来る男。笑いと言う笑いに、必死になれる男。普通じゃ有り得ない、普通はしない、それでも笑わせる為に、馬鹿な真似が出来る凄い男。  「すっごいな」
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