第一話.『バケルライフ』

29/29
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
 伊弉諾は、柵によりかかり、打ち上げられる花火を見た。 輝き、眩しい、その煌めく男は、嬉しそうな顔で、伊弉諾にこう言った。  「手伝ってくれてサンキューな。お前が居なかったら出来なかったぜ」  伊弉諾悠は平凡人だ。  趣味はない。部活はしない。勉強はしない。そして、友達がいない。  ――何もできない男では無く、何もしない男。  そんな男が、たった今この時、自分から足を動かそうとしていた。自分から、変わろうとしていた。そんな小さな変化が芽吹くのは、少し、先の話かもしれない。  『何もしない男の日常』から『何かをする男の日常』へ。彼の日常は、この日を境に、変化する。  非日常SF学園青春恋愛スぺクタルストーリー。  この景気良い花火を幕開けとし、彼の物語は始まる。  因みに宮崎はこの後説教された。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!