「これだから、さぁ」

2/15
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
「あぁー、もう!」 誰もいないのを確認してから叫んでみた。ふざけるんじゃない、あんな格好で涙目で迫ってくるとか、本当にふざけるな。確かにあの格好を指示したのは僕だけど。僕だけど! 「……っとに、これだから、……心配になる……」 羽山莉央がつんけんしてるのは中学の頃からだった。そのくせ絵は柔らかくて、綺麗で、儚くて、 あの子に似てたから。 「あー……やめよう。思考停止。黙れ脳ミソ」 「光……だよな」 「……佐藤」 僕のクラスの委員長だ。コミュニケーション能力に欠ける僕にとって珍しい、まぁ仲のいい友達。特筆すべきは僕の病弱かつ嘘つきの従姉妹の彼氏。最近、いろいろあった感じだけど。 「……光……ひとりぼっちで叫ぶのやめようぜ。ヤバい奴だったぞ、完璧」
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!