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「あぁー、もう!」
誰もいないのを確認してから叫んでみた。ふざけるんじゃない、あんな格好で涙目で迫ってくるとか、本当にふざけるな。確かにあの格好を指示したのは僕だけど。僕だけど!
「……っとに、これだから、……心配になる……」
羽山莉央がつんけんしてるのは中学の頃からだった。そのくせ絵は柔らかくて、綺麗で、儚くて、
あの子に似てたから。
「あー……やめよう。思考停止。黙れ脳ミソ」
「光……だよな」
「……佐藤」
僕のクラスの委員長だ。コミュニケーション能力に欠ける僕にとって珍しい、まぁ仲のいい友達。特筆すべきは僕の病弱かつ嘘つきの従姉妹の彼氏。最近、いろいろあった感じだけど。
「……光……ひとりぼっちで叫ぶのやめようぜ。ヤバい奴だったぞ、完璧」
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