「なんでですか?」

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リボンは面倒だからはしょった。ブラウスは三つ目までボタンが外されている。ストリップではないとひとまず全力で断言する。 「あぅ、さむー……」 「ったく、我が儘」 「じゃあ、私以外のモデルを探してください。なんで私を選ぶんですか」 「髪が腰まである女子、お前だけなんだよ」 日だまりに踞る。暖かい。ぬくぬく、ぽかぽか、眠い。ちょっとざらざらしている床に、茶色がかった髪の毛が広がる。小さな、ため息。 髪の毛だけが目当てなんですか? なんて先輩には聞けない私が嫌いだ。       * 賀山光(カヤマアシタ) 一個上の先輩。出会ったのは中学生のとき。絵が上手いってことで有名だった。全国コンクール最優秀賞なんてさらっととってくるような人。
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