「なんでですか?」

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実は私だって絵を描くのは好き。まぁまぁ、そこそこ、上手い、つもり。中学校に上がって、止めたけど。 だって、明らかにレベルが違う人がいるのに、続けられる訳がない。 「なぁ、君、羽山莉央(ハヤマリオ)だよな?」 そう話しかけてきたのは、賀山先輩だった。私は――― 思い切り眉を寄せて振り返った。 「なんですか。確かに、私が羽山莉央ですが」 「絵。……鳥のやつ」 「……夏休みの課題のやつですか。それがどうかしたんですか」 「凄いな、って思ったから」 「はぁ?なに言ってるんですか。賀山先輩の夏休みの課題の絵は全国コンクール最優秀賞でしたよね?私の絵は県のコンクールの優秀賞です。どちらが凄いか、解りますよね?」
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