「なんでですか?」

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「……そうじゃないんだけど」 「なに言ってるんですか。それって嫌味ですか。皮肉ですか」 「……もういい」 くるり、と賀山先輩は踵を返した。振り向かずに、 「期待した僕が馬鹿だったようだよ。時間取って悪かった」 ただ、ほんの一瞬、振り返って。 「羽山莉央、君がちゃんと解ったら。きっと良かろうと。思ってる」 「……お、は……莉央、羽山莉央!」 「はいッ!」 回想終わり。っていうタイトルの絵を描いたのを不意に思い出す。絵の具の匂いに釣られてなのか、賀山先輩の声に釣られてなのか、解らない。 「さっさとポーズ。休憩は終わり」 「はぁい……本当、なんでこの高校にいるんですか。なんで私と同じ高校なんですか。ふざけないでください」
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