「なんでですか?」

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「なんで賀山先輩は……そんなに狡いんですか……」 「それが解ってるんなら、僕に近付かなければいい」 「……賀山先輩からモデルになれって言って来ましたよね」 「僕が絵をやめるまでだから」 カンヴァスから、賀山先輩がひょい、と顔を出す。細くて、女っぽくて、そのくせあちこちごつごつしている。滅多に表情が浮かばない顔に、微笑み。ほら、また、狡い。 「そしたらまた、君が絵を描けばいい。僕は描かないから」 「……なんで……ですか……私、私は賀山先輩の絵、」 立ち上がる。賀山先輩の近くに。 「私は賀山先輩の絵、好き、なのに―――」 「やめて。言うな。……その格好で近付くな」 「格好なんてどうでもいいんですよ!なんで、なんでやめるんですか!?おかしくないですか!?おかしいですよね絶対!!」
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