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「君は僕なんかよりいろんなものを持ってるくせに、なに言ってるんだよ!!」
ダンッと大きな音を立てて、絵筆が置かれた。その音と、怒鳴り声に小さく悲鳴をあげてしまう。
「君の方がずっとずっとずっと!恵まれているくせに!!」
「だとしても才能はもらえてないんですよ、私は!!」
ぎり、と強く睨まれる。身体がすくむ。
「……もういい。僕は帰るから」
ぴしゃん、と閉められたドア。ずるり、と床に座り込んだ。
「なんで、賀山先輩はそんな―――」
絵が嫌いになっただなんて、言えるんですか。
私より、ずっとたくさんのものを持ってるくせに。
才能を神様からたんともらってるくせに。
だから私は、
「賀山先輩を嫌うしかないのに」
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