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「何、されたんですか。
この場所で、
サッカー部のみんなから」
「なにも、されてない…」
「ウソでしょー?」
月子ちゃんは
くすっと笑って、
「集団暴行で捕まった連中に、
なにもされずに済んだなんて、
……誰も信じませんよ」
「でも、本当に、あの時は…」
「萌先輩、可哀相。
…モトカレも酷いですねー、
自分の彼女を売るなんて」
蔑み、馬鹿にしたような言葉に、
わたしは思わず声を荒げた。
「…違う…っ。
…板東先輩は、そんなこと…」
唐突に、熱い涙が
わたしの目からボロッと
溢れ出した。
「何が違うんですか?
萌先輩は売られたんでしょう?
その人に」
「…ちがう…。
先輩は、…先輩は、
わたしのこと…」
わたしは言葉を切った。
――先輩はあの時……。
わたしを一生懸命、
守ろうとしてくれた。
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