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板東先輩の笑顔。
はしゃぎながら楽しそうに
仲間たちとグラウンドで
ボールを追っていた姿。
わたしを抱きしめた、
強すぎる腕の力。
触れるだけのキス。
そしてあの時の
先輩の泣き顔が、
――誰もいなくなった
サッカーグラウンドが
脳裏をよぎり、
わたしの内側を
引き絞るように締め付けた。
胸元を押さえ、呻くように
泣き声を上げるわたしを、
月子ちゃんはしばらく、
黙って見つめていた。
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