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「泣いたって、
過去は消せませんよ、先輩。
……わたしだって、
……どれだけ泣いても、
ダメでした」
ぽつり、と哀しげな
言葉が落ちて来る。
「どうですか?
自分の過去の傷をえぐられる気分。
…少しはわたしの気持ち、
分かってもらえました?」
月子ちゃんが
椅子から立ち上がる。
涙で歪む視線を上げると、
彼女は冷ややかな目で
わたしを見下ろしていた。
「ねえ、先輩。
どうして、…先輩はそうやって、
わたしの邪魔ばっかり
するんですか?」
いきなりぐい、と髪を
引っ張られ、わたしは
悲鳴を上げた。
両手で月子ちゃんの手を握り、
必死で引っ張り返す。
「なんであんたが、
――哲哉くんとキスしてるのよ」
「…痛いっ…やめて…」
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