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「ミツルがね。
もう私の傍には
いられないって言うの。
お前のワガママにつき合うのは
疲れたって。
他に好きな人がいるって。
――それって、先輩ですよね?」
その目が、暗く
歪んで行くのが分かった。
「今まで、ミツルは
わたしの言うこと、
何でも聞いてくれてたのに。
……わたしのためだったら、
何でもしてくれたのに……」
襟元を握りしめる
月子ちゃんの手に力が入り、
わたしは呻いた。
「萌先輩。――あんたがミツルを
そそのかしたんじゃないの?」
「違う…」
いきなり手を離され、
無防備なわたしの頭は
床に叩きつけられた。
ぐらりと視界が揺れる。
朦朧としながら、わたしは
うわ言のように、必死で言った。
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