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ギシ、ギシ、と、わたしの足に
踏みつけられるたびに、
階段が鳴く。
階下では、あの時と同じように
倉庫の中から淡い光が
洩れていた。
どうやら、先日の火災で燃えたのは
体育館の後方だけだったようで、
微かに漂う炭のような
独特の匂いを除けば、
見る限り、この場所は
以前と何の変わりもない。
…どうしてこんなところに…。
階段を降り切って入口の前に立つと、
部屋の奥で、月子ちゃんが
壁に寄り掛かってこちらを見ていた。
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