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「…まさか…ミツル…」
…え…。
逆光で顔は見えないけれど、
…月子ちゃんの声は震えていた。
その表情を窺おうと
目をこらした時、
…月子ちゃんは
唐突に立ち上がった。
そのまま黙って
つかつかと部屋から出て、
扉を閉める。
わたしは必死になって
身を起こした。
ガチャガチャ、という音に、
血の気が引く。
慌てて立ち上がったわたしは、
バランスを失い、前に
のめるように倒れ込んだ。
もう一度立ち上がり、
よろけながらドアにすがり、
ノブに手をかける。
回そうとしても、その銀色のノブは
僅かに冷たい音を立てるだけで、
動かなかった。
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