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ゴト、という物音を
聞いた気がして、
わたしは目を覚ました。
顔を上げ、周りを見回してから、
閉じ込められていたことを
思い出す。
泣き疲れて、
眠りこんでいたようだ。
おしりの痛みに顔をしかめ、
膝立ちすると、床を覆う
砂埃のザラザラした感触が
膝頭を刺激した。
しばらく耳を澄ましたけれど、
何の音も聞こえてはこない。
…気のせいか…。
携帯を見ると、
PM8:45という
時刻を示している。
…いつになったら、
わたしの異変に誰かが
気付いてくれるだろう。
母には、今日は初日打ち上げで
遅くなると伝えてあった。
おそらく10時半を過ぎないと、
わたしの帰りが遅いことに
不審を抱いてはくれない。
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