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しばらくして、…何か、 妙な音がし始めた事に 気付いた。 チャプチャプという、 …何かが零れ出すような、 水の滴る音。 そして…。 唐突に、その匂いが 鼻を突いた。 同時に、わたしの足元から、 一気に鳥肌が這い上がって来る。 これは、…この匂いは…。 ――灯油――。 「…待って!!…やめて!!」 わたしは思わず叫んだ。 「ここに…地下に 閉じ込められてるんです!! …やめて!!火を点けないで!!」 ありったけの声を 振り絞って叫ぶと、 喉がピリっと鋭く痛んだ。 喉元を押さえ、耳を澄ますと、 ――頭上には、 静寂が広がっていた。
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