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わたしは椅子を下ろし、
思わず後ずさった。
ガシャ、とパイプ椅子が
足元に崩れ落ちる。
…誰…?
まさか、…放火犯じゃ…。
ドタドタと階段を
降りて来る足音。
ドアノブがガチャガチャと
激しく揺さぶられ、わたしは
恐怖のあまり
悲鳴を上げながらうずくまった。
「…萌っ!!」
わたしは顔を上げた。
…この声は…。
「ドアの前からどけっ!!」
一瞬、静かになったかと思うと、
どすん、という重い音とともに
ドアが軋み、部屋全体が揺れた。
わたしはさらに後ずさり、
壁際に寄った。
もう一度、ドスン、という衝撃。
最後に、ガン、ガン、と
蹴られるような音が響き、
3度目でバン、と
勢いよく扉が開いた。
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