-3-

8/14
前へ
/35ページ
次へ
わたしは椅子を下ろし、 思わず後ずさった。 ガシャ、とパイプ椅子が 足元に崩れ落ちる。 …誰…? まさか、…放火犯じゃ…。 ドタドタと階段を 降りて来る足音。 ドアノブがガチャガチャと 激しく揺さぶられ、わたしは 恐怖のあまり 悲鳴を上げながらうずくまった。 「…萌っ!!」 わたしは顔を上げた。 …この声は…。 「ドアの前からどけっ!!」 一瞬、静かになったかと思うと、 どすん、という重い音とともに ドアが軋み、部屋全体が揺れた。 わたしはさらに後ずさり、 壁際に寄った。 もう一度、ドスン、という衝撃。 最後に、ガン、ガン、と 蹴られるような音が響き、 3度目でバン、と 勢いよく扉が開いた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

321人が本棚に入れています
本棚に追加