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弾みでもう一度
閉じかけた扉を、
ゆっくりと押し開く手。
「……大丈夫?萌ちゃん」
…どうして…。
息を切らしてそこに
立っていたのは、
白井さんだった。
「怪我はない?」
心配そうに顔を歪め、
駆け寄って来る。
「しらいさ…ん」
ふっと気が抜け、
目の前が暗くなった。
膝から崩れ落ちそうになった
わたしの身体を、力強い腕が
しっかりと受け止める。
目を開けると、
わたしを見下ろす
白井さんの顔。
「…ひどいな…」
苦しげに呟き、わたしの
左頬に触れる。
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