321人が本棚に入れています
本棚に追加
「腫れて、熱持ってる。
すぐに冷やさないと。
痛むだろ?」
優しい問いかけに、
張りつめていた心が
解け、涙が込み上げる。
わたしは白井さんに抱きついて、
声を上げて泣き出した。
「…怖かったね、萌ちゃん…」
白井さんはわたしを
きゅっと抱きしめ、
優しく頭を撫でた。
「巻き込んで、悪かった…」
そう言って、さらに
きつく抱きしめる。
…え…。
しゃくりあげながら、
わたしはその言葉の意味を
考えていた。
…巻き込むって…。
胸から顔を上げると、
思ったより顔が近くて、
慌ててもう一度顔を埋める。
「…もう、大丈夫だよ」
大きな手のひらが
もう一度わたしの頭を
包むように撫でる。
「とにかく、ここから出よう。
早く帰らないと、お家の人も
心配してるだろ?」
白井さんは腕を解き、
よろけるわたしを支えながら
ドアの方へと進んだ。
最初のコメントを投稿しよう!