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階段を上がり、
扉から出ると、
灯油のにおいが
一層強くなった。
暗がりに目を凝らし、
舞台の周りを
じっと見つめたが、
灯油がどこに
撒いてあるのかまでは
はっきりと分からない。
立ち止まっていると、
白井さんがわたしの手を取った。
「行こう」
手を引かれながら
体育館から出ると、
校舎の方が真っ暗に
なっている事に気付いた。
職員室のある辺りにも、
すでに灯りが見えない。
おそらく校舎の入り口は
すでに施錠されている
はずだから、荷物を取るのは
難しいかもしれない。
「萌ちゃん、こっち」
鞄を諦め、真っ直ぐ門に
向かおうとしたわたしを、
白井さんが引き戻す。
「え…。門、こっち…」
「防犯カメラに
映るのはまずいから」
わたしは戸惑いながら、
塀に沿って進んで行く
背中に続いた。
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