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「真理子さんって良い名前ですね」
「いえ。どこにでも有る名前ですよ」
「ご主人が亡くなってからどれ位経ちましたっけ?」
「丁度2ヶ月になりました」
「そうですか。寂しくはないんですか?」
「ない、と言ったら嘘になりますけど、でも今の生活に慣れるので精一杯です」
「僕ね。年上の女性がタイプなんですよ。後、華奢な人が」
「はぁ……」
嫌な予感がし、少し距離を取ろうと思ったが遅かった。
店長の腕が私の腰に回り、逆に近くに寄せられてしまった。
どういう反応をするべきか、躊躇しているところへ蓮が戻って来た。
気付いて助けて欲しい様な見られたくない様な、どちらか分からないまま、私はタバコの煙で霞む座敷の奥の蓮を見つめた。
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