第2章の続き

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 飲み放題なだけに2時間の制限があるのだ。  2次会は所長とママが知り合いだという例のスナックに違いない。  歌舞伎役者さながらに白く塗ったママの顔が、お化け屋敷さながらの暗さに映えるいつもの店を貸し切りにしているのだ。  普段居るはずの店の女は誰もおらず、カラオケはセルフサービス。  ママはカウンターの中で白塗りの顔を傾げて居眠り。  いつものパターンだ。  俺はビールで張った膀胱を緩める為に席を立った。  さっきの店員に便所の場所を尋ねると、店の外に2階のテナント共同のものが有ると言われた。  男用の便所に入り、5つある便器の真ん中を選んで用を足した。  半開きの窓から見える新宿の街並みはまだ薄明るく、ネオンがその役割を完全に果たすには少し早い様だった。
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