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紫「幻想郷の管理人として、あまり追求こそはしないけれども、どうしても………1つだけ、聞きたいの」
清「………俺らで答えられる範囲なら」
紫「......貴方達はいいのかしら?自分達の家庭がある筈なのに...……今まで会ってきた友人にも、忘れ去られるというのに…」
..................驚いたな。 彼女なりに、僕達に申し訳ないと思っているのかな? 妖怪なのに、随分優しいんだね。
いや、なんであれ彼女も人以上に非情さこそあるけれど、それと同じ位優しさというものを知っているんだろうな。
でも、よかった。
こっちには戻れるんだろうけど、もうここで思い残すことも無い。
妖怪とかなんだとかそれ以前に
彼女にも.........優しさがあったんだから。
佳「気にしなくていいと思うよ」
紫「え?」
清「俺らの家族は早いうちに皆いなくなっちまったからさ、元から孤独と同じようなもんさ。
それに、ここで当たり前を知っただけでのうのうと平凡を生きるより、新しい発見とかを追求してった方がきっと楽しいだろうしさ」
紫「...ふふっ。 本当に変わった人達ね」
ゆかりんはそういったあと、扇子を取り出して少し薙ぐと、リボンとリボンの端から切れ目が入ると同時にスキマを開いた。
うん…………幻想入りの逸話をよく見るお陰でどういうのか予想は出来たんだけど、スキマの中の目が怖い。
簡単に説明すると、洞窟とか洞穴だとかと違って、光が無い。 だからスキマの部分だけペンキを零したかのようにはっきりとしている。
さらにスキマの中にある無数の目が僕達に向けられ、気味悪く感じる。
紫「準備はいいかしら?」
佳「大丈夫だ」
清「問題ない」
こんな時に2人でイーノックをやるとは思わなかった。
紫「......それでは行きましょうか。 忘れ去られた者達の最後の楽園、幻想郷へ」
また呆れていたが、どうでもよかったので見なかったことにした。
そして紫は僕達2人をスキマの中に入るように促す。
僕達は迷いなくスキマの中へ足を踏み入れる。
こうして幻想の世界に、新たに2人の少年が幻想入りした。
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