二章 自称村一番の美女

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  (僕の魔力が補助系統魔法が向いているなんて、どなたも気がついていらっしゃらなかったようですが)  身体強化や属性付加、魔法の威力増強や効果増強等、リューティスの魔力は補助魔法を使うのに向いているのだ。  リューティスの本当に得意とする魔法が、実は身体強化であったなどとは、誰も思わないだろう。  無詠唱という、詠唱も魔法名すらも口にせず魔法を発動させるという高度な方法で、使うことすら困難な派手な攻撃魔法を連発させて敵を蹴散らしていたリューティス。  身体強化という技術は、その影に隠れ、目立たないながらに最も得意とする魔法であったのだ。  村の手前で、女性を肩からおろした。流石に足腰の力は戻っていたようで、しっかりと立つ。 「さて、貴女は先に戻った方がいいでしょう。同時に戻れば、変に勘ぐられます」 「わかっているそれくらいは!」  チッ、と舌打ちをする音が聞こえた。ギロリと睨み付けられて、苦笑する。荒い足取りで村へと去っていく後ろ姿を見送ってから、リューティスは背後を振り返った。  どうも嫌な気配がする気がする。目を細めて闇に包まれた森の深くまで目を遣るが、その正体はわからない。 .
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