二章 自称村一番の美女

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  「“ボックス”魔法か、いいなぁ……。俺、“ボックス”が使えるほど魔法が得意じゃないからな」  彼の言葉でようやく理解する。あの学園のレベルが普通なわけがなかったことを。  ──リューティスは数日前まで、ニアン学園という首都の学園に通っていた。とある理由からやめざるを得なくなりやめたのだが、そういえばあの学園は「国一」の学園であった。  つまり、あの学園の生徒の平均が、全国の学園、学校の生徒の平均のわけがないのだ。  あの学園だからこそ、“ボックス”魔法なんていう魔法を使っても全く目立つことはなかったが、ギルドの高ランク者や有名騎士、王宮魔法使いなんて者たちの大半を産出している学園である。あれが一般的な学生のレベルであったはずがないのだ。  他の学園や学校の生徒など、義務教育の終わる高等学部卒業までに初級魔法を使いこなせるようになっていれば、首席すら狙える──通っていたニアン学園のリューティスがいたクラスの担任が、そんなことを呟いていたのを思い出す。  ところで、初等部から高等部までは義務教育であるが、これには例外が存在する。  高い学力を身に付けている、もしくは教育を施してくれる者がいる場合や、学校に通わずともすでにそれなりの稼ぎがある場合、それから学校や学園が遠すぎて通うに通えない場合等、どれかひとつにでも当てはまれば、義務教育は免除されるのだ。  リューティスは一つ目と二つ目に当てはまり、もとより学園に通う必要はなかったのだが、とある人物の厚意によって、通わせてもらっていたのである。  首都から程近いこの村の生まれならば、首都の学園に通っていたのだろう。普通は受験しなければ入れないニアン学園ではなく、受験しなくとも入れる小さな学園か学校に。 .
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