二章 自称村一番の美女

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   ニアン学園に通うということ事態が、一種のステータスなのだと、貴族の友人が話していたのを覚えている。あれは、ニアン学園の生徒の優秀さがどれほどのものであるかをいっていたのだ。  あの女性の前で中級魔法を詠唱破棄してしまったことを思いだし、顔をしかめかけた。しかし、ケインの前で顔を歪めるわけにはいかない。不快な思いをした、と誤解される可能性がある。  だが、リューティスはAランクのカードを彼女に見せていた。Aランクならば、中級魔法など詠唱破棄が当たり前である。 「あぁそうだ」  村長宅へケインと並んで歩いていると、彼が不意に口を開いた。 「多分村長から話があると思うけど、サンダーベアの肉を村で買い取らせてほしいって言ってたぞ」 「この時期に、ですか」  この夏の暑い時期になぜだろうか。冬前ならば越冬のための蓄えだと納得できるが、この時期ならば加工しなければすぐに腐ってしまう。 「村祭りがあるんだ」  リューティスがよほど不思議そうな顔をしていたのだろう。ケインは楽しげに笑んで答えを教えてくれた。  しかしながら、この時期に村祭りとは珍しい。村祭りの大半は秋の稲刈りを終えた時期に行うものだと思っていたのだが。 .
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