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たどり着いた村長宅の扉を、ケインが叩く。すぐにこちらへ向かってくる一つの魔力。流石に一度あっただけの人物の魔力は覚えておらず、誰のものなのかは不明である。
扉を開けてひょいと顔を覗かせたのは、シーナであった。
「あれまぁ、終わったのかい?」
リューティスを見るや否や、扉を開け放った彼女の問いに首肯した。
「はい。村長さんに報告に参ったのですが、今ご在宅でしょうか?」
「いるわぁ。あんたが来たら入れるように言われてるからね、入りな」
ケインに礼を告げてから、お邪魔しますと呟いて、シーナのあとに続いて村長の家の中に入る。昼間と比べればだいぶ暗いが、それでも魔道具に照らされた廊下は明るかった。
突き当たりの昼間に来たときにも通された部屋で、村長は待ち受けていた。
「あぁ、終わったんだ」
ソファーから立ち上がった村長は、ほっとしたように表情を緩める。リューティスのランクがAであると伝えていたが、それでも自分は心配されていたようだ。
「えぇ、終わりました」
“ボックス”から依頼書を取り出して彼に見せる。依頼書は特殊な魔方陣が描かれており、依頼を達成すると達成したことを示す文字が現れるのである。
「お疲れ様。……ありがとう、助かったよ。あの黄色い熊のせいで、北側の森に近づけなくてね。南側の方はあまりいい獲物がいないから、祭──あ、そういえば言ってなかったね、祭のこと」
「いえ、ケインさんからお聞きしました」
リューティスが首を横に振って否定すると、村長は僅かに驚いた様子を見せた。
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