二章 自称村一番の美女

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  「ケインから? じゃあ、サンダーベアを売ってほしいって話も聞いたかな?」 「えぇ、存じています。……解体してしまってありますが、よろしいでしょうか」 「むしろ助かったよ」  安堵したように息を吐き出した村長。この村の祭にとって、肉はなくてはならない存在なのだろうか。 「水神様には、大きな魔物の上腕の肉を丸焼きにして捧げるのが慣例なんだ。なんで上腕の肉なのかは知らないけど」  もちろん他の部位も買い取らせてほしいんだけど。  村長の言葉に、リューティスは頷いて了承の意を示した。 「わかりました。サンダーベアの相場はご存じですか?」 「うーん……。中級上位のそれなりに美味しいって噂の肉だから、キロあたりムーン銅貨五枚から六枚、かな? まるごと買い取るなら、骨とかの重さを抜いて三百キロとして……えぇと、ムーン銅貨千五百から千八百枚だから……」  眉根にしわを寄せて計算をする村長に、リューティスは苦笑を漏らした。今の銀貨のレートは、確か銅貨九枚。銀の含有率はここ十数年でかなりの早さで落ちていた。同時に、銅貨の中に含まれている希少金属の量も増加している。ここ最近のレート変動は、なんでも、できるだけ計算しやすいレートにするためであるらしい。  一時期、銀貨のレートはとても高かった。銀貨一枚が、銅貨九十枚近かったのだ。こうも開きがあると扱いづらいからと、銅貨の価値をあげ、銀貨の価値を下げるという策がとられたのである。 .
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