二章 自称村一番の美女

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   結果として、銅貨と銀貨の価値の差は縮まったものの、銅貨の価値の上昇により、さらに価値の低い貨幣が必要になった。こうして作られたのはムーン銅貨、もしくは十分銅貨と呼ばれる穴空きの貨幣であり、その価値は銅貨のおよそ十分の一である。 「銅貨百五十枚から百八十枚、銀貨に直しますと銀貨十六と銅貨六枚から銀貨二十枚、ですね。さらに銀板貨に換算しますと、銀板貨一枚と銀貨六枚と銅貨六枚から銀板貨二枚……でしょうか?」  銀板貨は銀貨よりもさらに価値の高い、長方形型の貨幣である。その価値はおよそ銀貨十枚であり、さらにいえば銀板貨十一枚で金貨一枚だ。数ヵ月前までは銀板貨十枚で金貨一枚だったのだが、銀貨のレート降下が原因で変動したのである。  金貨の上にはさらに金板貨と呼ばれるものがあるが、これは滅多に使われない。金貨の価値の約十倍の価値を持つそれは、普段の生活でやり取りに使われる銅貨のおよそ一万倍の価値があるのだ。それこそ大商人と王族や貴族とのやり取りにしか登場しないものなのである。 「んー……、あってるみたいだね計算。わかった、すぐに用意するよ」  村長がその背後に控えていたシーナを呼び寄せて小声で一言二言告げると、彼女は小さく頷いて頭を下げてから退出していった。 「食料庫に案内するよ。ついてきて」  村長がソファーから立ち上がる。手入れはされているものの、質素で古いソファーが軋んだ。 .
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