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依頼の手続きをしてもらい、それから木椅子に腰かけて酒を嘗める男に近づく。
「すみません、僕に手紙を届けにいらしたとお聞きしたのですが」
男は酒を片手に勢いよく振り返った。こちらを見て目を丸くし、それから小さく笑う。
「お前がそうか。……しかし、説明された通りの容姿だな」
一体、リューティスの容姿についてどのような説明を受けたのだろうか。女顔云々とまた言われていたに違いない。
「一応、ギルドカードを見せてくれ」
手紙が入っているのだろう麻の袋と共に、依頼書を取り出す男。リューティスは“ボックス”から取り出したギルドカードを手渡した。
「……ん、間違いないな」
依頼書と見比べてから返却されたギルドカードを“ボックス”に仕舞い、手紙を包みを受けとる。
「ありがとうございます」
「いんや、仕事だからな」
ひらひらと手を振って、照れた様子を見せながら笑う彼に、リューティスは“ボックス”から小瓶を取り出して差し出した。
「疲労回復に効く薬です。よろしければどうぞ」
「お、ありがとな」
魔法薬ではないそれは、一般的によく流通しており、即効性は全くなく、飲んでから一晩寝て疲れがよくとれる程度のものである。
魔法薬でも、疲労がすぐ様一気に復さするものなど存在していない。これよりももう少し効き目が高いものがあるだけだ。
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