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けれど。流石に『まだ、子供』と言っていい年頃の蒼に、手を出すのは憚られたのか、『理性』で抑えた。
土方
(それにしても、コイツ。すげえ綺麗な白い肌してんな。素でこれだけってのは………)
白粉などを使っているなら、そう言う類いの匂いがするはずだが、蒼から、そう言う匂いはしない。
寧ろ、『雨に濡れた花』を連想させる『清廉な香り』をまとっているような気さえ、するのだから………。
ー土方は、その考えを払い、蒼の手を引いた。しかし、歩き出した途端、裾を踏んづけ転びそうになった蒼を、抱き上げて部屋まで運ぶことにした。
土方に抱き上げられたことが恥ずかしかったのか、蒼が藻掻いていたが『暴れると落とすぞ』と言うと、大人しくなった。
顕著な蒼の素直な反応に、我知らず、笑みが零れた。こんな風に、穏やかな気持ちで笑ったのは、いつ以来だろうか。
腕の中の暖かく柔らかい感触は、土方の『穏やかな心』を呼び覚ましたらしい。
部屋に着くと、土方は蒼と一緒に敷いたままの布団に潜り込む。すると、蒼は何を思ったのか、もぞもぞと布団から這い出した。
土方
「………どうした、蒼。あ~、一緒に寝んのは嫌か?」
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