ー 其の壱 猫と屯所と浪士組 ー

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ー翌朝。壬生浪士組屯所 副長室ー  不意に、土方の意識が、眠りの淵から浮上した。腕の中には、まだ『あどけない顔』をして眠る蒼がいる。 そんな蒼の寝顔に、フッと笑みが洩れた。そっと、その頬に触れると、くすぐったいのか、躰を丸める蒼。 土方 (くく、本当に『猫』みてえだな、コイツ。) このまま、蒼の寝顔を堪能していたい気もするが、すべきことだけは、せねばならぬ。 土方 「蒼……………おい、蒼、起きろ。」  意図せず、甘く優しい声が出た。蒼が僅かに身動ぎ、ゆっくりと起き上がる。 まだ、寝ぼけているのか、ぼんやりした表情は、幼く見え、愛らしい。  蒼の年齢は、蒼自身も憶えていないのだが、見る限り、恐らくは十四、五歳と言ったところだろう。  しかし。それにしては、寝乱れた着物から覗く白い肌は、妙に艶かしい。土方でさえ、一瞬『くらり』とするほどだ。 ー土方は、蒼の着物を手早く、きっちり着付け直した。極力『露出』を控えさせ、妖眼であることを隠す為、金の右目に包帯を巻いた。 気は進まないけれど、近藤の『同情』を更に引く為に、右目に傷を負い、『見えていない』と言うことにした。
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