ー 其の漆 狂犬 対 群狼 ー

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土方 「………なぁ、蒼?正直に言ってくれ。お前は、俺のこと『どう思ってる』?」  初心な蒼には、土方の言わんとしている『問い掛けの意味』が、よく飲み込めていないらしかった。  先程よりも、益々『戸惑い』と『疑問』が浮かんだ表情になる。もう、こうなったら、『直球』で聞くしかない。  蒼が、どれだけ『恋愛感情』を『理解』しているかは、甚だ疑問ではあるのだけれど………。  蒼自身の口から聞かねば、『意味』など、ないからだ。そして、土方自身に、そう問われれば、蒼には『誤魔化すこと』なんて、出来なかったのだ。  耳どころか、首まで真っ赤に染めて、暫し逡巡してから、『ぎゅっ』と己の袴を握り締める。 蒼 「ごめ、ん……なさっ………ごめん、なさ…い……土方様っ!『主』…で、ある……貴方、に………対し、て…こんな………っ」  蒼は、堪えられず『ぽろぽろ』と大粒の涙を零し始めた。嗚咽混じりだが、それで『自分の正直な気持ち』を、吐露しようと頑張っている。    ーその様こそが、愛おしくて堪らないー  土方は、そう思ったけれど………。『口付けたい衝動』を『ぐっ』と堪えた。
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