ー 其の弐 甘党剣士と昼の京 ー

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 悪びれもせず、折角の蒼と二人きりの時間を『邪魔』された土方は、八つ当たり半分に、額に青筋を浮かべ、怒号を発した。 土方 「総司!てめえなぁ………何回、言やぁ理解しやがんだよ!!」 沖田 「ああ、いたんですか、土方さん。全然、ちっとも、気付きませんでしたよー。(超棒読み)」  明からさまに、『馬耳東風』と言った感じの沖田に、『ビシッ』と眉間の皺が深くなり、遂に土方がキレた。 土方 「人の話を、聞きやがれえぇえぇーーッ!!」 土方の怒号に、蒼の躰が『びくんっ』と跳ねた。びりびりと腹の底まで響くような声だったから………。 それに気付いた土方が、ハッとして蒼に対して(だけ)、謝った。 土方 「っと、すまねえ、蒼。驚かせて悪かった。」 そう言いながら、土方は蒼の頭を撫でた。優しく甘い表情で。蒼にだけ向けられる笑みと瞳。 蒼 「………いえ………平気、です///」 土方の微笑に、赤くなって俯く蒼。何となく、『疎外感』を覚えた沖田は面白くないようだ。 沖田 「あの~いいですか?蒼君、私の話………聞いてました?」  普段、人(と言うか、土方)の話を、全く聞かぬ男の言う科白でもないだろう。
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