ー 其の弐 甘党剣士と昼の京 ー

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土方 「言っとくが、蒼との『逢い引き』なら、『許可』は出さねえぞ。」 答えたのは土方だ。蒼の行動、特に『外出』については、土方が権限を握っている。そもそも、蒼には全てに於いて『土方に従う』と言うのが、『不変の意志』であったから……………。 沖田 「そんなんじゃありませんって。『呉服屋』に蒼君の着物を買いに行こうかと思ってたんですよ………。」 土方 「………『蒼の着物』だぁ?」  土方は、蒼を見遣った。蒼は依然として土方の着物(着流し)を着ている。けれど、胸元と足の露出は、変わらぬ『しどけない』ままである。 正直な話。土方とて、蒼に『このままの格好』をさせておく気はなかった。 何より、自分以外の男の目に、蒼の滑らかな白い柔肌を晒したくはないのである。 蒼 「………え、でも。『お金』……掛かり、ます…よ、ね………?」 妙な疑問形で問い掛ける蒼。勿論『物々交換』などではないので、当然のこと。 蒼には、『後ろ楯』なく『給金』さえ出ない、壬生浪士組の『経済事情』はわからないが、自分の為に『金を使わせる』のは、やはり気が引けるらしい。    ー蒼の『奥ゆかしさ』故、なのだろうー
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