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ー壬生浪士組屯所 副長室ー
拗ねたような沖田の言葉に、折角の『甘い雰囲気』を邪魔された土方。いつもの仏頂面に戻り、沖田に冷たく言い放つ。
土方
「気に入らねえなら、出てきゃいいだろ。大体、てめえ『稽古指導』の時間じゃねえのか?」
沖田
「わかってますよーっだ、行ってきます!!蒼君。また今度、お茶しましょうね?」
そう言って、来た時と同じように、パタパタと、足早に走って行った。
普段であれば、土方の言葉を素直に聞くような沖田ではないだろうが、『稽古(剣術)』となれば『話は別』なのだ。
ー沖田の『好き』なものは『近藤・剣術・甘味』だー
最近になって、その三つ以外に、新たに『蒼』が加わったのであろうが………。
とにかく、『好き』なもの。こと『剣術』に関しては、沖田は一切の『妥協』を許さない。
それは、自分以外にも同様であり、『剣術』には殊更『禁欲的』であること。
ーそれが『沖田 総司』と言う男の『本質』なのだー
それは、沖田自身が、『近藤の為』に、自分に出来ることは、『剣を振るう』ことだけ。
つまり『人を斬る』ことだけだ、と思っているからに、他ならなかった。
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