第1話

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「しーおり」 「うわぁっ!!神谷さん!!」 「それしゃれにならないボケだぞ??」 赤司はわたしの隣に腰を下ろしクスクス笑った。 「知ってますよ。で、ここまで追ってどうしたの??」 「特に理由はないさ。」 しおりはそう言った赤司の横顔を見つめた。 赤司……これからおかしくなっちゃうのかな……。今は普通っぽいけど……。 しおりがぼーっと自分を見ているのに気づいた赤司はしおりの顔の前で手をパンッとならしニヤリと笑った。 「スキがありすぎだ。」 「心臓に悪いことしないでくださいー、神谷さんー」 「いい加減にしないとぶっ飛ばすかもしれないよ??」 「すんまそん。」 「それでいい。」 赤司はまたクスクスと笑いだす。それを見たわたしはつられてクスクス笑った。 「俺たちはこの先どうなるんだ??」 「わたし……赤司に事情話してないのになんで知ってるの??」 「地獄耳だから黄瀬と話してたとき盗み聞きしてたんだ。」 「うわ、こわーい」 「……で、俺たちはどうなるんだ??」 しおりはニッコリ笑い人差し指を口の前に持っていく。 「秘密だよ??その方がきっと人生楽しいよ。」 楽しいはずない。この先キセキの世代、黒子くん、桃井ちゃんは傷ついて悲しんで……。 でもちゃんと仲直りしていくんだよなぁ…… いつの間にかいつかの誰かさんのことを思い出していたことに気づく。 『はじめまして、大迫しおりです!!よろしくお願いします!!』 「ぐっ……!!」 「しおり……!?大丈夫か!?」 「大丈夫……ちょっと……はぁーふぅー……頭痛しただけ」 赤司はしおりの頭に手を置きポンポンと頭を撫でた。 「無理するなよ」 しおりはそんなことを言われたこともないので下を向いてありがとうと呟いた。 その目からは喜びと悲しみが混ざった涙が流れ落ちた。
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