第1話

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ダムッダムダムッ シュッ ガタン キュッキュッ 「バスケ楽しそう」 しおりは体育館の小窓のさくをガタガタ揺らしながら見ていた。 寒い体育館の裏で。 「赤司っち、しおりっち中に入れてあげないと風邪ひいちゃうっスよ??」 「しょうがないだろう。他の部員にバレては処理しきれない。」 「うぅ、確かにそうっスけど……」 「真面目に練習するんだ。」 「はぁい」 ヒュゥゥゥゥゥー 「クシュンッ、ちっくしょー……赤司めー覚えとけよ……さむっ」 実はそんなことはあまり気にしていない。 しおりは気になっていた。さっきからこっちをにらみつけているマネージャーが。 さっきぶつかった人だと思うんだけどそこまで痛かったのかなとかそんなことを思う。 「……ま、いいか。どちみちこっちの世界のことだしね。」 雪が降ってきてほほに触れた。 しおりはその場で丸くなる。 パサッ 「ん??パーカー……??」 「風邪ひくぞ。」 そこには汗だくの青峰が立っていた。 「あれ??練習は??」 「雪降ってきてたから気になって抜けてきただけだ。そのパーカー貸してやるから着とけ。」 「わぁ、ありがとー!!」 「お、おう。」 しおりはにぱーっと笑いモゴモゴパーカーを着た。 「あったかーい」 「あとちょっとだから我慢しろよ」 「うん、頑張ってね」 「おうっ」 そういって青峰は練習に戻っていった。 「青峰意外と優しいな……」 青峰の優しさに気づいたしおりであった。
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