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「遅い。」
「ごめん、神谷さん。」
「殺してほしいのか……??」
「いや、わたし神谷さんは好きなんだよー??お前は嫌い。」
「はぁ……」
神……じゃなくて赤司は頭をかき申し訳なさそうに言い出した。
「さっきお父さんから電話がかかってきて……お父さんはしおりのことを警戒しているらしい。だから監視として俺と同じ部屋だ。」
「やだ。」
「そうじゃないと家から出ていってもらうらしい。」
「それだったら紫原君の家いくもん」
そう言って体育館に戻ろうとすると赤司に手をつかまれグッとひきよせられた。
そして抱きしめられる。
「せっかく家のなかでの話し相手ができたんだ。…………僕を一人にしないでくれ……。」
わたしは驚く。
(赤司って意外と甘えん坊なのか……??)
ふっと笑うとそっと赤司の柔らかい赤髪を撫でる。
「わたしなんかでよかったらいつでも赤司のそばにいてあげる」
『あんたなんていらない!!』
そう言われた日々が遠くに感じるほど。
わたしはこの時幸せを感じていた。
「しおり……ありがとう」
赤司はわたしに満面の笑みを見せた。
(か、かっこいい……)
しおりは自分の頬が熱くなるように感じた。
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