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「……違うよ、萌ちゃん……」
「だって…白井さん…」
わたしは差し出された
大きな手を取った。
「…白井さんのこの手、
――灯油の匂いがしてる」
「これは…。…さっき、
萌ちゃんを捜してて
舞台の上を触ったから…」
「じゃあ」
白井さんの手を握ったまま、
訴えるように言う。
「わたしが体育倉庫にいるって、
どうして分かったの?
わたしが叫んだからじゃないの?
白井さんはどうして、
こんな時間に学校に居るの…?」
「それは…」
しばらく言葉を待ってみても、
……白井さんは黙って
俯いたままだった。
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