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☆ミ
一方、イヴたちが最高のクリスマスを迎えている光景を、モンタナは一人窓の外から眺めていた。楽しそうに過ごすみんなの笑顔を見ていると、モンタナもどこか心が踊るようであった。
「………楽しそうじゃの」
その声に驚き後ろを振り返ると、そこには何匹ものトナカイに引かせた大木なソリに乗ったサンタクロースがいた。真っ赤なサンタ服に大きなプレゼント袋。それは今まさに、子供にプレゼントを配る最中であった。
「サンタクロース…どうしたんですか?こんなところまで来て…」
「む?ファニーベルたちと同じ理由じゃよ。ほっほっほ」
サンタクロースはクリスマスを楽しむイヴたちの姿を見て、楽しそうに笑う。
「こんなところで見てないで、サンタクロースも参加してはどうですか?」
「いや、儂はここで十分じゃ。あの少年たちのサンタクロースは、もう既にいるようじゃしの…お主こそ中には入らんのか?」
「いえ、俺は…こうして見てるだけで…十分です」
「そうか、お主もなかなかにひねくれ者なんじゃな。おぉ、そうじゃ。今日はクリスマスじゃかな、お主にもプレゼントをやろう」
そう言うとサンタクロースは人差し指を立てる。するとそこにキラキラと光る光が満ちた。ほれ、とサンタが指でモンタナの鼻を撫でると、赤い鼻がキラキラと光り始めた。
「これは………」
「サンタクロースの仕事は夜中に世界中を飛び回る仕事じゃ。猛吹雪で見通しも効かない時もあるじゃろ。そんな時、お前のその光る鼻があれば、道に迷わず目的地に行くことが出来るじゃろ」
ポンポン、とモンタナの頭を撫でるサンタクロース。
「………ありがとうございます、サンタクロース。俺、今までずっとこの鼻が嫌いでした。俺の鼻が赤いばっかりに、皆から嫌われて…けど、このプレゼントのおかげで俺、自信が持てました」
「ほっほっほ、それは何よりじゃ。イヴはいずれ儂の後を継いでサンタクロースになる子じゃ。イヴの為に、力になっておくれ。あぁ、そうじゃ、儂がここに来た事は秘密にしておいておくれ。仕事をサボっていたと後でどやされると敵わんからの」
はい、とモンタナは笑顔でそう答えた。サンタクロースは満足そうに微笑むと、再び夜の空へと飛び立っていった。
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