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「使えるよ!」
トマスは叫んだ。
「イヴは魔法、使えるよ!」
その言葉にイヴは俯いた。
「使えないよ…お祖父ちゃんみたいに魔法で色んな仲間を増やすことも出来ないし、お父さんみたいに立派なトナカイを育てる事も出来ない。ナイトみたいに誰かを探すことも出来ないし、モンタナみたいに真っ暗な中を明るく照らすことも出来ない…イヴはまだ何にも出来ないの」
「そんなことない!!イヴは俺のところに来てくれた!!俺を何とかしようと頑張ってくれた!!そのおかげで、俺は久し振りに幸せなクリスマスを迎えられた!!それは全部、イヴのおかげだ!!」
「イヴの………おかげ?」
「そう、全部イヴのおかげだよ!!イヴが俺を笑顔にしに来たって聞いたとき、俺、そんなの無理だって思ってた!!笑顔になんかなれないって、そう思ってた!!けど、今は違う!!俺はイヴのおかげで笑顔になれたんだ!!」
「けど…それは…」
「サンタクロースはみんなを笑顔にするのが仕事なんだろ?だったらイヴは絶対にサンタクロースになれるよ!!だってイヴの魔法はみんなを笑顔に出来るから!!イヴが笑顔になるとみんなつられて笑顔になるんだ!!それはイヴにしか使えない、立派な魔法だ!!」
イヴにしか使えない魔法、それは人を笑顔に出来る魔法………トマスのその言葉にイヴは涙を流した。
「イヴ、ずっとずっと、魔法が使えない事を悩んでたの…グスッ…けど、本当はイヴ、ずっと魔法を使えてたんだね…グスッ…ひっく…ありがとう、トマス…トマスのおかげで、イヴ、やっと自分の魔法に気づくこと、出来たよ………」
ニッコリと微笑むイヴ。
トマスはそれを見て、微笑む。
「イヴ!!俺、ずっと待ってるから!!お前が立派なサンタクロースになって、クリスマスに俺のところに来るその日まで、ずっと笑顔で待ってるから!!」
「………うん!!イヴ、絶対サンタクロースになってまたトマスに会いに来るから!!絶対絶対!!トマスに会いに来るから!!約束だよ!!」
「あぁ!!約束だ!!またな、イヴ!!」
「うん、またね!!トマス!!」
徐々に遠ざかっていくソリ。トマスはソリが見えなくなるまで、ずっと手を振っていた。
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