体力テストその後

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そんな中、背の高いキレイなコが話しかけてきた。 「更科葉月......君だよね?」 「え??」 「あのさ...高校ではバスケやらないのか?」 突然の質問に思わず息を呑んでしまう。 そして視線を外して絞り出す様に 「......僕、バスケ辞めたんだ。」 と呟いた。 「なんでっ!?なんで辞めるんだよ!!俺はっ......」 彼は思わず葉月に詰め寄る。 「あんなんで、あんなんでいいのかよっ!!」 悲痛なまでの彼の声に柚樹がハッとする。 葉月の肩を掴み、押し倒さんばかりの勢いに周囲が思わず騒然となった。 「おい!渚やめろって!!」 思わず柚樹が間に入る。 俯き、何も言わない僕に 「っっ......なんでだよっ!!」 なおも掴みかからんとする彼にもう一人背の高い人も間に入る。 「渚っ、落ち着け!!」 渚と呼ばれた彼よりも更に一回り大きな人が後ろから抱きしめるように、渚を宥めていた。 「離せよ、悠紀...殴ったりしないから......」 そう言って彼の手から離れると、プイとどこかへ行ってしまった。 沈黙する周囲...... 腫れ物に触るような周囲の目に耐えられず、僕は思わずその場から逃げ出した。 「あ、葉月待って!!」 弾かれたように、遼が後を追った。 ?後に残された、真田が口を開いた。 「ごめんな、渚は更科葉月の大ファンだったんだよ...」 「そっか...」 柚樹が呟く。 「悪気があってのことじゃないんだ...」 尚も力なく呟く真田。 重苦しい空気の中、匡一が 「ま、そう伝えとくよ~」 といってその場を後にした。 「葉月......」 とっくに見えなくなった葉月の後ろ姿を見つめ呟いた。 その時、午後の授業が始まる5分前の予鈴が響いた。
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