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「俺、泉美学園を受験したいんだけど!泉美で野球やりたいんだ!!」
夕飯を終え、各々が食後のデザートやお茶、晩酌を楽しみながらゆったりとした時間を過ごしていた。
大きな声を発したのは、この家の双子の長男ーーー更科柚樹(さらしなゆずき)
突然の柚樹の受験宣言に一家団欒、食事中の家族は皆三者三様に一時停止をした。
『何をいきなり・・・』
『ユズちゃん、どうしちゃったの?』
野球一筋の柚樹の口から受験なんて言葉が出たので、両親はみんな一様に驚いている。
『受験ったって、今からで大丈夫なのっ?』
「大~丈夫、大丈夫!こないだ正月にさ、おじさん家行ったじゃん?そこですごいこと知っちゃったんだ!!
実はね、おじさんて泉美学園の理事長だか学園長だかやってるらしいんだ!つ・ま・り関係者なわけ♪」
「ユズ~・・・それってズルでしょ!!」
呆れて答えたのは、双子の次男ーーー更科葉月(さらしなはづき)
「実はさ、おじさんにお願いしたんだ~♪俺ってばあったまいぃ~♪♪♪」
「や、だから、受験ってそんな簡単じゃないんだよっ!!ユズ全然わかってないっ!!」
『葉月はどうするつもりだい?』
「僕は公立で地元の中央狙ってるんだけど・・・」
「葉月も一緒に泉美に行こうよ!!あそこは偏差値も高いし、進学率もいいから勉強するにはいい環境だよ!!」
『そうか・・・お前たちもいろいろ考えていたんだね。ユズ・・・心配してたんだぞ。どこにも入れないかと思ってたから・・・』
「ちぇ~なんだよそれ~」
と口を尖らす柚樹に両親達は続けた。
『実はな、父さん4月からニューヨークに転勤が決まったんだ!!
当然母さんも来てもらおうと思っている。黙っていたんだが、弟に頼んで泉美学園への試験の手続きはもうしてあるんだよ。』
「「ええーーーっ!?」」
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