1154人が本棚に入れています
本棚に追加
/1839ページ
「いらっしゃいませ~!」
カフェなんておしゃれなお店じゃない。
普通の喫茶店でバイトする私だけど、このバイトの時間がすごく好きだった。
めちゃめちゃ忙しくもなく、めちゃめちゃヒマでもなく、すごく平凡で穏やかな時間だから。
マスターもすごくいい人だし、奥さんもよくしてくれて、ご夫婦様々だと思ってる。
時給もすごくいいわけじゃないけど、好きなんだ、この時間。
「ご注文はお決まりですか?」
「ホットコーヒー、下さい」
「はい、かしこまりました。マスター、ホットワンです!」
私は用意されたコーヒーとモーニングサービスのバタートーストとミニサラダ、ゆで卵のプレートとコーンスープを運んだ。
「お待たせしました。ごゆっくり~」
「すいません。こんなに頼んでいません」
「モーニングサービスですよ。無料ですよ」
私は笑顔で答えた。
「そうなんですか?ありがとうございます」
お客さんは笑顔でそう答えた。
今時、モーニング知らないなんてどんな人?
「モーニングは初めてですか?」
私はどうしても気になって聞き返した。
「はい。喫茶店てあまり入ったことなくて・・・。知っていたら、ホテルの朝食食べてきませんでした」
彼はそう笑顔で答えた。
「ホテルで朝食って、ご旅行ですか?」
「はい。そうです」
「へぇ!そうなんですか!あっ、いらっしゃいませ。じゃあ、ゆっくりして言って下さいね!」
お客さんが来てしまったので笑顔でそう言うと、彼も笑顔だった。
最初のコメントを投稿しよう!