ー 開幕 ー

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     ー唯一の『  』なのだからー  そこで、不意にハッと目覚めた。霞がかったように、頭が重い。 葵 「……………あれは、誰だったの?『目醒める』って、『宿命の環』って、何なの?」   ーワタクシハ、イッタイ『ナニモノ』ナノー   葵は、ふと『兄の手紙』を思い出した。兄に心配と迷惑を掛けるのは、正直、気が引けたのだが……………。 このまま、『独り』でいたら、気が狂いそうだったから………。 葵 「兄上………そうだ。兄上の元に行こう。」 兄の傍にいられれば、少しは『感情』も、落ち着き、安定するだろう。  葵は早速、兄に文をしたため、いそいそと『荷造り』を始めた。 『五年前』まで屋敷から出たことすらなかった葵には、江戸から京までの長旅は辛いだろう。  恐らくは、文が兄の元に届くのが先の筈だ。流石に、突然思い立ったからと言って、いきなり訪ねると言う『不調法』はしない。 葵は、亡き養父母から、『礼儀作法』を始め、各種技能を叩き込まれていたから……………。 葵 「兄上、兄上、兄上………。早く、お逢いしたい。」   ー俺だけは、どんな時でも『葵の味方』だー
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