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初めて逢った時からの、二人きりの『約束』。ずっと、葵が『心の支え』にして来た『言葉』だった。
ー数日後。京 壬生浪士組屯所ー
??
「…俺に文?へえ、珍しいこともあるもんだ。えっと、差出人は………葵ッ?」
平隊士から、自分宛の文を受け取った男は
大いに狼狽した。慌てて、文を開く。そこには………
『前略、兄上様。
私、この度、京ヘ。兄上の所に参じようと思います。
葵』
??
「…………って、それだけかよ?あ~~~、ったく。今度は一体『何』があったんだよ…………。」
思わず、盛大な溜息を吐く。葵が、こう言う突拍子もない行動をとる時は、大抵『何事』かがあり、それについて『悩んでいる時』だからだ。
ーこの男。名を『原田 左之助』と言い、姓こそ違えど、正真正銘『葵の実兄』である。
原田
(………葵が来る。俺の元へ、俺を頼って………。でも……………)
葵に久々に逢える。それが『嬉しくない』と言えば、嘘になる。けれど『逢いたくない』と言う思いも、僅かに存在した。
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